Webデザイナーやコーダーにとって、右手(マウスを持つ手)は命とも言える商売道具です。しかし、ピクセル単位の微調整や、デュアルモニターを行き来するカーソル移動を毎日何時間も繰り返していると、どうしても避けられないのが「手首の痛み」や「腱鞘炎」のリスクです。
私自身、繁忙期にマウスを握る手が痺れ、湿布を貼りながら納期に追われた経験があります。「このままでは選手生命に関わる」と危機感を覚え、藁にもすがる思いで導入したのが「トラックボールマウス」でした。
最初は「親指でカーソル操作なんて無理!」と思いましたが、慣れてしまった今では、もう普通のマウスに戻ることは考えられません。今回は、なぜWeb制作のプロたちがこぞってトラックボールに乗り換えるのか、そのメリットと、絶対に外さないおすすめの3機種をご紹介します。
Web制作におけるトラックボールの3つのメリット
普通のマウスは「手首や腕全体を動かして」カーソルを操作しますが、トラックボールは「主に親指か人差し指だけ」でボールを転がします。この違いが、クリエイティブワークに革命をもたらします。
- 手首と腕が完全に固定される 本体を動かす必要がないため、腕をデスクに預けたまま、指先だけで画面の端から端までカーソルを飛ばせます。腱鞘炎の原因である「手首の反復動作」がゼロになります。
- 狭いデスクでも作業領域を確保 マウスパッドの上を滑らせるスペースが不要です。資料が山積みのデスクでも、カフェの小さなテーブルでも、本体を置く場所さえあれば100%のパフォーマンスを発揮できます。
- 精密操作と高速移動の両立 ボールを勢いよく弾けば一瞬でモニターを横断でき、ゆっくり転がせば1px単位のデザイン調整も可能です。特にデュアルモニターやウルトラワイドモニターを使っているコーダーには、移動のストレス軽減効果が絶大です。
挫折しない!クリエイターにおすすめの厳選3機種
トラックボールには「親指操作タイプ」と「人差し指/中指操作タイプ」があります。それぞれの特徴を踏まえ、Web制作に最適なモデルを厳選しました。
1. トラックボール界の絶対王者:Logicool MX ERGO
「予算が許すなら、迷わずこれを選んでほしい」と言える、Webクリエイターのためのハイエンドモデルです。
最大の特徴は、本体に付いているメタルプレートで「傾斜角を20度」つけられること。この角度が絶妙で、手を自然に添えた「握手をするような形」で操作できるため、手首の捻れが解消され、長時間の作業でも疲れ知らずです。
また、「プレシジョンモードボタン」を押すとカーソル速度が一時的に遅くなり、Photoshopでの切り抜きやIllustratorでのベジェ曲線操作など、精密な作業が劇的にやりやすくなります。ボタン数も多く、コピー&ペーストなどを割り当てられるため、作業効率の塊のようなデバイスです。
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2. コスパ最強の最適解:Logicool ERGO M575S
「トラックボールに興味はあるけど、1万円以上出すのは怖い……」という方のデビュー機として、これ以上のものはありません。
MX ERGOの弟分にあたるモデルですが、センサー精度やボールの滑らかさは上位機種譲り。手に吸い付くようなエルゴノミクスデザインは、何年も改良され続けてきた完成された形状です。
機能はシンプルですが、ブラウザの「戻る/進む」ボタンは完備しており、単三電池1本で最大2年間動くという驚異的なスタミナも魅力。Web制作の現場でも使用者は非常に多く、カフェなどの外出用サブ機として持っておくのにも最適です。
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3. スクロール中毒のコーダーへ捧ぐ:Kensington ExpertMouse ワイヤレストラックボール
こちらは親指ではなく、「人差し指や中指」で巨大なボールを転がすタイプです。左右対称デザインなので、左利きの方や、右手の疲労分散のために左手で操作したい方にも愛用されています。
この機種の最大の武器は、ボールの周りにある「スクロールリング」です。ダイヤルのようにリングを回すことで、数千行あるCSSやログファイルを爆速でスクロールできます。この感覚は一度味わうと病みつきになります。
また、ボールが大径なので、慣性の法則を使って「シャーッ」と転がす快感は他では味わえません。ボタンが4つあり、専用ソフトで自由にカスタマイズできるため、「クリック」「右クリック」以外の特殊なショートカットを割り当てたい上級者にもおすすめです。
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まとめ:最初の「3日」を乗り越えれば、天国が待っている
トラックボールへの移行で唯一のハードルは「慣れ」です。正直なところ、使い始めて最初の数時間〜3日くらいは、思ったところにカーソルが止まらず、「普通のマウスに戻したい!」とイライラするかもしれません。
しかし、そこをグッと堪えて使い続けてみてください。脳と指の神経が繋がった瞬間、手首の痛みから解放され、もうマウスパッドの上で腕を振り回していた頃には戻れなくなります。
Web制作という長く続くマラソンを走り抜くために、ぜひ「一生モノ」のパートナーを選んでみてください。

